桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
やがて噂は、後宮の隅々にまで広がっていった。

「柳妃様が、また皇太子様のお隣に座られていたそうよ。」

「ご衣装も宝飾も、すべて殿下からの贈り物ですって。」

宦官や侍女たちの間で、囁きは日に日に熱を帯びていく。

「間違いない。皇太子様の御寵愛は、柳妃様お一人だ。」

その言葉は、まるで決まり文句のように繰り返された。

そして一番喜んでいたのは――司馬陽だった。

「……よかった。」

彼は目を細め、深く頷いた。

「皇太子様に心を寄せているあなた様がお傍にいることが、一番安心できます。」

涙ぐむその姿に、私は胸が熱くなる。

「司馬陽……」

「柳妃様。どうかこれからも殿下をお支えください。殿下が選ばれたのは、あなたなのです。」

真摯な言葉に、私はただ頷くことしかできなかった。

煌がくれた愛が、こんなにも人を動かしている。

――そう思うと、幸せと同時に、責任の重さに胸が震えた。
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