桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
一方で、妃たちの間では、私への嫉妬の声が日に日に強まっていた。

中でも大臣の娘として権勢を誇る安妃は、もともと寵姫の座を狙っていたと噂されている。

その日、廊下の角でばったりと出会ってしまった。

「……あら、柳妃。」

思わず背筋を伸ばす。立場の上では、私が礼を尽くさねばならない。

「安妃。ごきげんよう。」

深々と礼をすると、安妃は扇を軽く打ちながら、じっと私を見つめてきた。

冷ややかな眼差しが、衣の裾からかんざしにまで注がれる。

「それも――皇太子様から賜った物?」

衣装のことを言っているのだと悟り、私は言葉を失った。

「まあ、ほどほどになさることね。」

扇で口元を隠しながら吐き捨てるように告げると、安妃は裳を翻し、去って行った。

胸がざわつく。

煌からの贈り物を身にまとうたび、こうして妬まれるのだ。

けれど、煌が私を選んでくれた証でもある。

(私……どうすればいいの……?)

溺愛の幸せと後宮の嫉妬、その板挟みで心は揺れ続けた。
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