桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
思わず、彼の前でため息を洩らしてしまった。

「どうした?」

煌が心配そうに覗き込む。

「……他の妃様の妬みが、すごくて。」

胸の奥に溜め込んでいた不安が、ぽつりと口をついて出た。

次の瞬間、彼の逞しい腕に抱き寄せられる。

「放っておけばいい。」

低い声が耳元に落ちる。

「俺の妃は小桃一人なのだから。」

「……煌。」

その言葉だけで胸が熱くなり、涙が滲む。

煌はさらに力を込めて抱きしめた。

「何かされたら、真っ先に俺に言え。おまえは俺が守る。」

彼の声は揺るぎなく、背を包む温もりはどこまでも深い。

その強さに支えられながら、私は安らぎを覚えた。

ぎゅっと抱きしめられる度に、思ってしまう。

――煌に愛される夢のような未来を。

この後宮で、ただ一人彼の傍に生きられるのだと。
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