桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
そしてその日も、夜伽の番は私に任された。

このところ、ずっと――毎晩、選ばれるのは私だけだ。

湯殿で身を沈めていると、桃の香りがふわりと漂った。

肌に馴染む甘やかな香りは、もう私と煌を結ぶ象徴のようになっていた。

「……柳妃様。」

侍女が羨ましそうにため息をつく。

「皇太子様は、すっかりあなた様の虜ですわ。」

「虜……?」

思わず顔が赤くなる。

別の侍女も笑みを浮かべて言った。

「こんなに美しい肌をお持ちなのですもの。当たり前でございます。」

(それは、毎晩こうして彼女たちが香油で手入れをしてくれるからなのに……)

そう心の中で呟きながらも、胸は熱く高鳴る。

「本当に……私だけ?」

小さな声で問うと、侍女たちは声を揃えた。

「はい、柳妃様。殿下が所望されるのは、いつもあなただけです。」

言葉は甘いのに、胸の奥に不安が広がる。

(こんなに溺愛されて……私に、耐えられるのだろうか。)

桃の香りが、ますます濃く私を支配していった。
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