桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
翌朝。後宮の広間には、険しい空気が満ちていた。

「また昨夜も柳妃だったそうよ。」

「信じられない。これでもう何夜続いているのかしら。」

「私たちは何のためにここにいるの!」

妃たちの声が次々と飛び交い、ついには安妃が立ち上がった。

彼女は大臣の娘という誇りを背に、鋭い視線をこちらに向けてくる。

「皇太子様が柳妃ばかりを選ばれるのは、後宮の秩序を乱すことです!」

広間がざわめきに包まれる。

「そうだ、安妃様のおっしゃる通りだ。」

「柳妃様だけが特別扱いされるなんて、前代未聞です。」

私は座したまま身を小さくし、冷たい視線に耐えるしかなかった。

胸が苦しく、俯いた目に涙が滲む。

その時、扉が開き、煌が姿を現した。

妃たちは一斉に頭を下げる。

「何の騒ぎだ。」

低い声が響いた瞬間、場の空気は凍りついた。

安妃でさえ口を閉ざし、息を呑むしかなかった。

(煌……これ以上、私のせいで波風を立てたくないのに――)

私の胸は、不安と愛しさで押しつぶされそうになっていた。
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