Pandora❄firstlove
葛藤
「あの時はごめんなさい!!」
いいわけ無いだろという暴言を笑顔と共に飲み込んで、振り向いた。
「いいんですよ、林檎先生。俺ーーーいや、僕は平気ですから」
平坦な顔して笑ってる用に相手に見えていればいいけれど、なんとなーく心做しか顔がどうしてもこわばっていく。
静けさのます職員室の中。
早朝から溜まった仕事をこなしていたら、案の定やってきた彼女。
あんな緊迫した表情で、歪みまくられた愛をぶつけられても「普通」の男でも降参してしまいそうだ。
ーーそれでも気にしてないーーー
と、括っているのは面倒事をこれ以上起こしたくないという処世術センサーが敏感に反応しているからだろう。
「でも………凄く、優しいんですね司先生は」
「はーーいって、え?」
「私、少し惚れちゃいました。あんな姿を見ても許してくれる司さんを」
嘘だ、待ってくれよ。
普通、あんな姿を相手方に見られたら引はずなのに、メンタル面どうなってやがる………。
「えっと………ありがとうございます」
「また、お食事にでも行きましょうよ。今度こそ奢りで」
めんどくせぇーな、行かねぇーよ。
笑顔でにこやかに去っていく彼女を密かに見送って、ため息が出た。
なんであの人に気に入られるように精神を張り巡らせているんだって、苛立ちを隠せない。
次から次へと問題が起こっていたが、とある噂が入り込んだ。
ーーー眠り姫愛が、新しく同い年の王子様を迎えるかもしれないーーー
と。
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