Pandora❄firstlove
「学校で、クリスマス会……ですか?林檎先生それは本当で?」
「それが本当なんですよ……校長怖いですよねー」
職員室にクリスマスツリーが飾られており、周りが赤いリボンだらけになっていると思ったら、校長が飾っているのだという。
いい大人の男性がこんなふうにクリスマスに、ウキウキ状態だとはどんな言葉をかければいいのか………。
「それで………体育館ですると?」
「クラス対抗で、企画をするみたいですね。とはいっても、代表で。全員が強制参加というわけじゃないみたいです」
どんなクリスマス会だよ……。
「その支度をするのは?」
「我々、教師みたいですねー」
うわ……、ダル。
「お二人さんクリスマス会。楽しそうにしてますね」
噂をすれば剥げた校長が。
海さんといい、校長といい、変な剥げた男性が俺の周りに来る呪いでもあるのか?
「あの……クリスマス会とは?林檎先生から聞きました」
「あー、そうだった。司先生は病院に入院してたから、知らなかったわけだ林檎先生はやさしいですね。」
えへへと林檎先生は笑って、恥ずかしそうに照れて見せる。
舌打ちがしたくなったが、我慢我慢。
「最近学校と、生徒の関係がギクシャクしてきているような気がしてね。少しでも和らげることが出来るように、先生と生徒達の為のクリスマス会を計画したんです」
「僕達も、出るんですか?!」
「あれれ、聞いてませんよ。そんなの……私」
「林檎先生は、朝遅れてきたからか。今日決めたんです」
おいおい、マイペースすぎやしないか……校長。
「僕達、先生達も、何か出し物をするってことですかね?」
「そうだ、それはいいですね!!!校長として提案してください!!」
うわー、火に油を注いでしまった。
最悪だ……。
「じゃあ校長として、命令です!!………君達二人で何か考えてきてくださいよ!!」
え……、えぇ!?!?!?
「わぁー!!!それはいいですね!!!司先生!!!」
まじかよ、こんな自己中女と一緒に?
苦虫を噛み潰したような味がじんわりと広がって。
だけども反論はできそうにない。
何故なら、職員室の中だった故に圧力が凄くて。
「じゃあ、じゃあ司先生、ミーンガールズって知ってます?」
え、あの映画の?
一応コクリと頷いた。
「あの、「ジングルベル」を踊りましょうよ!!」
流石の俺も「ちょ…、ちょっと待ってーーー」と言おうとしたが……。
パチパチと雪崩れるような拍手が、疎らに職員室に響いた。
嘘だ………。
俺が、女装して?
冗談じゃない。
「素晴らしいですね、林檎先生!!司先生の美しい女装姿、生徒達は楽しんでくれるかもしれません!!!」
「え………」
ーーーそれはいいですね!!ーーー
ーーー司先生頑張ってくださいーーー
ーーー応援してますよ、司先生!!ーーー
断りづらい。
もうなるようになれだ。
「じゃあ……、ええっと、素晴らしいクリスマス会にしましょう。林檎先生と………」
「ありがとうございます!!嬉しい!!!」
くっついて来るなよ………。
引きつる顔をなんとかして、笑顔に変えてみるも心は晴れなかった。
女装ーーーミニスカ嫌だな………。
*