Pandora❄firstlove
彼に向かって投げた物は、成長剤。
「煽れるだけの、余裕はあるんだね」
「俺は大人だからな」
「どんな理由があろうとも、僕愛ちゃんの事を誰よりも好きだから。自分の事情で振り回してるような感じの貴方には渡さないからね」
「馬鹿め。勝手にしてろ」
「それに似合ってるよ。そのミニスカサンタ」
舌打ちがこぼれたが、すでに彼は扉を出ていってしまった。
薬品を片付けて、どっとした疲れで体育館に戻ってきたら愛がいた。
しかも楽しそうな顔つきをしていて、胸がぐっと苦しくなった。
何故だ………?
あの明るい顔を見た時に、隣りにいるのはさっき出ていったアイツ………。
俺は教師なのに、どうしてこうもーー生徒に本気になってる?
ーーー私は先生の味方だからねーーー
メールのさり際に、そう打たれてあったのを思い出した。
俺が唯一、始めて心の底から何だかんだ仲良くなった異性だ。
そのーーー恋心が生徒に向いている?
冷や汗が背中を擦って、怖くなった。
何故なら、先生と生徒という禁断の壁に出を向けていそうになった、俺がいたから。
俺は甘い声で歌う林檎先生への元へ足を向けた。
この思いは、そっと胸に閉じ込めて置かなければ、行けない気がしたから。
俺はそっと、その場を去る。
*