Pandora❄firstlove
第二章

決別の予感


「司っち、私なんかしたの?」



「なんでもない。忙しいだけだ」




「仕事しない主義だったくせに」




「仕事しないと生きていけないんだよ。馬鹿か」



結局、次の日の放課後。




避けるようにしていたら、捕まってしまった。




「逃げないでよね。私司っちが何でそんなに私を避けてるのか、知りたいの!!」




「何故そんなに知りたがる」




「司っちの愛の道しるべの為に」




「馬鹿を言え、ガキ臭い」



「えー、本気で心配してるのにー!!」



はぁ、とため息を付いてバインダーの格で優しく頭を突いた。




「お前って、俺の事ーーー」




「好きなのか?」と言おうとしたら、言葉が胸に支える。




何故こんな簡単なこともいなくなってしまう?




それは俺が「好きだ」という気持ちを持っているからなんだろうか。



その瞬間、あの魔女の顔が浮かんできてバインダーをすぐ引っ込めた。




「人の頭叩いたのに、謝罪もないなんてどうかしてるよ司っち」




そこに立っていたのは紛れもない、愛の姿。




「………体調が悪いんだよ。ほっとけ」




「ほっとけないね。何があったの?オネーサンに言ってみなさい!!」




両腕を脇腹に携え、自信満々な愛。



「お前のこと、正直うざいなって」




「ひっどぉーーーい!!!」




愛に蹴りを入れそうになったが、すかさず俺は交わして次の授業に向かう。




それから俺は暫く、愛と話せなくなってーーー。





「こんばんは………」




「一ヶ月ぶりだな、司」



またカウンセリングを受ける期間が回ってきた。





「今回はどうした?」




「俺はいよいよ、犯罪者なのかもしれない」




「………というと?」





「生徒に……、嫉妬してるんだ」




「それは、それは大変だな」




優雅そうにコーヒーを飲む先生。




「なんか言わないのか………?」




「お前がどうしたいかを、待ってる」




「俺が?」




「そう、お前がだ」




「自分の意見を引き出して、それが正論になる的な理論か?」




「それ意外の答えを求めたら、お前はしっかり行動に移せるのか?」





黙るしかなかった。




「合理的な考えだな………」




「俺はその信念に基づいて動いてると言っているだろ?」




「じゃあ、俺はそうだな………」




何回待っていたとしても、答えが出ない。




「ごめんだな………少し話さしてアドバイスをくれないか?」




「正論を引き出す整理はしてやる」




全て包み隠さず、話してみせた。




林檎先生の事も、倒れた事も。




すべてを話し終えた時に、先生は言った。




「生徒と恋愛がしたいのか?それとも、生徒を応援したいのか?」




核心を突かれてしまった。





そう俺はそこを悩んでいた気がして、すっと堂々巡りをしていた気がする。




「俺は……、彼女の支えになりたいと思う」





「それはどうして?」




「弱いものを守りたいと思うのとーーー」




ーーーあの日の俺へのリベンジだからーー。




その言葉を口にした瞬間、先生の書く指が止まる。




この違和感を俺は何処かで知っている。




そうだあの時だ、前回のカウンセリングで先生は守秘義務だと口にしたあの日。



どうしたのだろうと、首を傾げていたらーーー瞬時に冷静な笑顔を作ったこと。




それはこれ以上触れられたくないという気持ちからなのだろうか………。




だとしたら、何がーーー。



ーーー私ね、先生と同じカウンセリングの先生と一緒なんだよーーーー。




愛………確か愛はそう言っていた。




だけども、だから………何だというのだ?




疑問が続く中、直ぐ様タイマーが鳴る。




「ありがとうございます先生」




「次からは、気をつけるんだぞ」



「え?」



「あの生徒に」




去り際にそんな事を言われてしまい、気になったけどーーー何だか触れるのが怖くなってしまい。




「忘れよう。今回のことは」




面倒くさいことを避ける俺としては、拒否反応を示した故にその場を後にした。





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