この関係、治療につき~変人伯爵さまはメイドのわたしにご執心(ただし、研究材料として)~
「ラナ、ちょっといい?」
洗濯ものを干していると、後ろから声をかけられる。振り向くと、そこにいたのはあきれ顔の先輩メイドだった。
「はい、どうしました?」
小首をかしげると、先輩は自身の額に手を当て、大きく息を吐く。
「今日はテーブルクロスも洗ってほしいって言ったの、覚えてたかしら?」
「……あ」
そうだ。朝礼で、執事のマイルズさんが言っていた。……今の今まで忘れていた。
「ったく、そんなことだろうと思ったわ。一応私がやっておくけど、次からは気をつけなさい」
「すみません」
頭を下げる。先輩はなにも言わずに屋敷に戻っていった。
先輩の背中を見送り、ため息をついた。
「これじゃあ、クビになるのも時間の問題だわ」
雇われて三カ月。わたしはミスをたくさん繰り返した。たぶん、ノーミスの日のほうが少ない。
はじめこそ、慣れないメイドの仕事だから――と大目に見てくれていた先輩も、最近ではあきれる始末。
直接きつい言葉をぶつけられたことはないけど、そろそろ堪忍袋の緒が切れてもおかしくはない。
「ただでさえ、人手が足りていないっていう話なのに」
マイルズさんいわく、この屋敷の人員は常にぎりぎりらしい。新しい人を雇おうにも、試験雇用のときでやめてしまうと。
それは、この屋敷の仕事がかなりハードな部類であること。あと……。