この関係、治療につき~変人伯爵さまはメイドのわたしにご執心(ただし、研究材料として)~

「ラナ、ちょっといい?」

 洗濯ものを干していると、後ろから声をかけられる。振り向くと、そこにいたのはあきれ顔の先輩メイドだった。

「はい、どうしました?」

 小首をかしげると、先輩は自身の額に手を当て、大きく息を吐く。

「今日はテーブルクロスも洗ってほしいって言ったの、覚えてたかしら?」
「……あ」

 そうだ。朝礼で、執事のマイルズさんが言っていた。……今の今まで忘れていた。

「ったく、そんなことだろうと思ったわ。一応私がやっておくけど、次からは気をつけなさい」
「すみません」

 頭を下げる。先輩はなにも言わずに屋敷に戻っていった。

 先輩の背中を見送り、ため息をついた。

「これじゃあ、クビになるのも時間の問題だわ」

 雇われて三カ月。わたしはミスをたくさん繰り返した。たぶん、ノーミスの日のほうが少ない。

 はじめこそ、慣れないメイドの仕事だから――と大目に見てくれていた先輩も、最近ではあきれる始末。

 直接きつい言葉をぶつけられたことはないけど、そろそろ堪忍袋の緒が切れてもおかしくはない。

「ただでさえ、人手が足りていないっていう話なのに」

 マイルズさんいわく、この屋敷の人員は常にぎりぎりらしい。新しい人を雇おうにも、試験雇用のときでやめてしまうと。

 それは、この屋敷の仕事がかなりハードな部類であること。あと……。
< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop