この関係、治療につき~変人伯爵さまはメイドのわたしにご執心(ただし、研究材料として)~
第2話 婚約破棄宣言
わたし、ラナ・シーリーと伯爵家の嫡男であるアレクシスは親同士が決めた婚約者だった。
貴族間ではよくある政略結婚の一種だ。成金貴族であるわたしの実家に、財政難の伯爵家が助けを求めたのがきっかけ。両親は援助の代わりにわたしと長男の婚約を求めた。結果、伯爵夫妻は要求を受け入れ、わたしとアレクシスさまの婚約が決まったのだ。
しかし、わたしたちの相性は包み隠さずに言うと、かなり悪かった。
傲慢で周囲にちやほやされることを当然だと思っているアレクシスさま。比べ、わたしはよく言えばおっとり。悪く言うとかなりどんくさいタイプ。わたしには彼の意に沿う行動ができなかった。
察して従え――という空気を出されても、わたしにはさっぱりで。気づくとわたしたちの間には必要最低限の会話さえなくなっていた。
でも、婚約は親同士が決めたもの。たとえ白い結婚だったとしても、仮面夫婦となっても。わたしたちは婚姻しなくてはならない――と思っていた。彼も同じだと思っていたのに。彼は違った。
「ラナ・シーリー! お前との婚約など解消してやる!」
きらびやかな社交の場。アレクシスさまはわたしに婚約の解消を突き付けた。
あっけにとられるわたしを見て、彼は鼻を鳴らす。
「お前のような察しの悪い女となど、結婚できるか! 今までは我慢してやったが、もう限界だ!」
……どちらかと言えば、我慢したのはわたしのほうでは?
などと言える空気でもなく、わたしは適当に相槌を打つ。
貴族間ではよくある政略結婚の一種だ。成金貴族であるわたしの実家に、財政難の伯爵家が助けを求めたのがきっかけ。両親は援助の代わりにわたしと長男の婚約を求めた。結果、伯爵夫妻は要求を受け入れ、わたしとアレクシスさまの婚約が決まったのだ。
しかし、わたしたちの相性は包み隠さずに言うと、かなり悪かった。
傲慢で周囲にちやほやされることを当然だと思っているアレクシスさま。比べ、わたしはよく言えばおっとり。悪く言うとかなりどんくさいタイプ。わたしには彼の意に沿う行動ができなかった。
察して従え――という空気を出されても、わたしにはさっぱりで。気づくとわたしたちの間には必要最低限の会話さえなくなっていた。
でも、婚約は親同士が決めたもの。たとえ白い結婚だったとしても、仮面夫婦となっても。わたしたちは婚姻しなくてはならない――と思っていた。彼も同じだと思っていたのに。彼は違った。
「ラナ・シーリー! お前との婚約など解消してやる!」
きらびやかな社交の場。アレクシスさまはわたしに婚約の解消を突き付けた。
あっけにとられるわたしを見て、彼は鼻を鳴らす。
「お前のような察しの悪い女となど、結婚できるか! 今までは我慢してやったが、もう限界だ!」
……どちらかと言えば、我慢したのはわたしのほうでは?
などと言える空気でもなく、わたしは適当に相槌を打つ。