この関係、治療につき~変人伯爵さまはメイドのわたしにご執心(ただし、研究材料として)~
第3話 勘当されました
それから、約二時間が経ち。わたしは途方に暮れていた。
重たいドレスを引きずりながら、ふらふらとさまよう。行く当てなどない。だって――実家から勘当されたから。
(しかも、紙切れ一枚で伝えるというのが、お父さまらしい)
男爵邸の前で、門番から紙切れを渡された。そこにたった一文『お前を勘当する』とだけ書いてあったのだ。
人間とは、嫌なことが続くと思考を放棄してしまうらしい。家族に見捨てられたというのに、涙一つ出なかった。
社交用のヒールの高い靴で長く歩いたためか、足が痛い。たぶん、靴擦れしている。
行儀が悪いけど、石畳の上に腰を下ろした。靴を脱いでみると、血がにじんでいる。
……これ以上動くのは、やめたほうがいいだろう。
「わたしって、どうしてこうもどんくさいんだろう」
あの場でうまく切り抜ける方法がわからなくて、逃げ出してしまった。これではあとから面白おかしくうわさされるに決まっている。……いや、もうすでに面白おかしく言われていたか。
思えば、小さなころからずっとこうだった。瞬時に判断することが苦手で、すぐに場に呑まれてしまう。……これでは、貴族の仕事である社交などできるわけもない。
わたしは、貴族に向いていないのだろう。
重たいドレスを引きずりながら、ふらふらとさまよう。行く当てなどない。だって――実家から勘当されたから。
(しかも、紙切れ一枚で伝えるというのが、お父さまらしい)
男爵邸の前で、門番から紙切れを渡された。そこにたった一文『お前を勘当する』とだけ書いてあったのだ。
人間とは、嫌なことが続くと思考を放棄してしまうらしい。家族に見捨てられたというのに、涙一つ出なかった。
社交用のヒールの高い靴で長く歩いたためか、足が痛い。たぶん、靴擦れしている。
行儀が悪いけど、石畳の上に腰を下ろした。靴を脱いでみると、血がにじんでいる。
……これ以上動くのは、やめたほうがいいだろう。
「わたしって、どうしてこうもどんくさいんだろう」
あの場でうまく切り抜ける方法がわからなくて、逃げ出してしまった。これではあとから面白おかしくうわさされるに決まっている。……いや、もうすでに面白おかしく言われていたか。
思えば、小さなころからずっとこうだった。瞬時に判断することが苦手で、すぐに場に呑まれてしまう。……これでは、貴族の仕事である社交などできるわけもない。
わたしは、貴族に向いていないのだろう。