忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
「……すっかり縁が切れるかと思ったら連絡は続くし、飲みの誘いには乗る。挙句には、誘えば家に上がる始末。豪雨と人身事故が重なったとしても、元カレの家に上がるのはちょっと危機感なさすぎじゃないか?」
マシンガントークが終わったかと思ったら、今度は若干説教のような口調。
その緩急についていけなくて、つい声が漏れた。
「へ…?」
「『へ?』じゃない!!あのな、俺が言うことじゃねぇけど危機感がなさすぎる!どうするんだよ!俺が由衣のこと襲う気満々だったら!逃げられないだろ!?」
「だ、だって、」
「現にほら」
腕を引かれてバランスを崩したと思ったら、いつの間にかソファーに押し倒されていた。
覆いかぶさる圭吾の髪から滴る水が、ぽたりと頬に落ちる。
「こんな風にされたら逃げられないだろ。俺が悪意を持って由衣に近づいたら、どうするつもりだったんだ?」
暗闇に目が慣れてきたからか、ぼんやりと圭吾の顔が見える。
彼の表情は、苛立ちが全面に出ていた。そして、悔しそうに歪められているようにも見えた。
「多分、どうもしないよ」
「何言って、」
私の答えが予想外だったようだ。圭吾が困惑しているのを、空気で感じた。
今しかないと思い、私は新たに話を切り出した。