忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~

 「ねえ。圭吾の気持ちって、今も変わらないの?」
 「は?」
 「『友人に戻りたくない』っていう気持ち。圭吾は今、私のことをどう思ってるの?」

 私の腕を押さえている彼の腕に、ほんの少し力がこもるのを感じた。

 「……」
 「……雨が上がったら忘れるっていう約束でしょ。今だけでも、圭吾のこと聞きたい」

 我ながらずるい言い訳だと思う。

 圭吾は泣きそうな顔で私を見下ろしている。彼の髪から滴る水が、泣いているように見えて仕方ない。


 「好きだよ」

 「…」

 「本当は引き止めたかったし、別れたい理由を聞きたかった」


 ぼたぼたと、先ほどまでの比にならない水が降る。


 「でもさ、俺、由衣のこと好きなんだよ。お前の幸せを1番に考えたら、」


 雨音が強くなる。



 「何も聞かずに、送り出すしかないじゃん」



 涙で濡れた圭吾は、変に大人びた顔で綺麗に笑った。

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