忘れたはずの恋心に、もう一度だけ火が灯る ~元カレとの答え合わせは、終電後の豪雨の中で~
その笑顔がどうにも苦しそうで、そんな顔をさせてしまった自分に腹が立つ。
「ごめんね」
「由衣が謝ることじゃない」
「違うの」
今度は私の番。
あの日言わなかったことを、今言わないと。
「もし、圭吾が本当に愛したいと思える人に出会った時、私の存在が邪魔にならないようにしたかった」
「は…?」
「だから友人に戻ろう、って言ったの。圭吾のことを好きになったけど、恋愛か友愛か分からなくなったから。線引きのできない曖昧なままだと、いつか圭吾を不幸にしちゃうと思って」
私の言葉に、圭吾は信じられないというように首を振る。
「そんなの、無理に分けなくて良かっただろ。俺たちは俺たちの在り方でいれば良かったんじゃ、」
「本気で好きだから!だから好きな人の幸せを邪魔することはしたくなかったの!」
半ば叫ぶように想いを伝えると、私の腕を押さえていた彼の手が、何かを恐れるかのように離れてしまう。
それが嫌で、慌てて体を起こして手を伸ばした。
「私たちさ、お互いのことが大事すぎたんだよ」
手を繋ぎ留め、指を絡ませる。お互いに、指先はすっかり冷えてしまっていた。私もいつの間にか泣いており、涙をそっと拭った。
「大事にしすぎて、自分たちの気持ちを後回しにしちゃった。結局それが、お互いを苦しめたんだね」