クズなキミからの不適切な溺愛
※※
本日もがむしゃらに社蓄として働けばいつのまにか、事務所の壁掛け時計は二十一時をすぎている。
今日は金曜日ということもあって、残業してる人はほぼいない。隣の吉良くんが残業している私をみて声をかけてくれたが、断るとすぐに退社した。
(女の子とのデートの邪魔しちゃ悪いものね)
(それに……高梨さんの仕事引き受けたのは私の判断だし)
私はファイルを圧縮して得意先に送信すると椅子の背もたれに身体を預け、うんと伸びをする。
「ん~、終わった」
非常に疲れたが今日のタスクを全て片付けることができて心地いい。
パソコンをシャットダウンしながら、私は不意に自分のデスクの片隅に飾っている《《それ》》に目を向けた。
──プリンの空瓶に入っているビー玉
淡いブルーがかった透明のビー玉は自社製品である、『サマーサイダー』のものだ。
(もうすぐ夏祭りの季節だな)
瓶製でビー玉つきの昭和感漂う『サマーサイダー』は昔は一年通して販売していたが、時代の流れとコストの問題から近年は夏の時期に特定の企業や商店といった得意先に卸している。
そんな『サマーサイダー』だが夏祭りの露店では今だに扱っているところも多く、密かな夏の人気商品だ。
私はビー玉を摘み上げると、初恋のある男の子のことを思い出す。
(懐かしいな。あの子どうしてるだろう)
幼い頃、ひと夏だけ過ごしたその男の子と私は一緒にお祭りに行ったことがある。
そこで二人で半分こをして『サマーサイダー』を飲んだのだが、その子が別れ際、プロポーズの言葉と一緒に渡してくれたのがこのビー玉だ。
──『大人になったら、ひーちゃんをお嫁さんにするね』
私のことを『ひーちゃん』と呼んでくれていた、あの子は王子様みたいに綺麗な顔をしていた。
(名前は覚えてないけど『おーちゃん』って呼んでたな……)
両親を亡くしたばかりの私にとって、あの男の子との過ごした夏の思い出はとても印象に残っている。
そして一緒に『サマーサイダー』を飲んで笑顔になれたことも。
就職活動の時、この会社を第一希望にしたのはその思い出が大きい。
(今年こそ、和馬とお祭り行けたらいいな)
本日もがむしゃらに社蓄として働けばいつのまにか、事務所の壁掛け時計は二十一時をすぎている。
今日は金曜日ということもあって、残業してる人はほぼいない。隣の吉良くんが残業している私をみて声をかけてくれたが、断るとすぐに退社した。
(女の子とのデートの邪魔しちゃ悪いものね)
(それに……高梨さんの仕事引き受けたのは私の判断だし)
私はファイルを圧縮して得意先に送信すると椅子の背もたれに身体を預け、うんと伸びをする。
「ん~、終わった」
非常に疲れたが今日のタスクを全て片付けることができて心地いい。
パソコンをシャットダウンしながら、私は不意に自分のデスクの片隅に飾っている《《それ》》に目を向けた。
──プリンの空瓶に入っているビー玉
淡いブルーがかった透明のビー玉は自社製品である、『サマーサイダー』のものだ。
(もうすぐ夏祭りの季節だな)
瓶製でビー玉つきの昭和感漂う『サマーサイダー』は昔は一年通して販売していたが、時代の流れとコストの問題から近年は夏の時期に特定の企業や商店といった得意先に卸している。
そんな『サマーサイダー』だが夏祭りの露店では今だに扱っているところも多く、密かな夏の人気商品だ。
私はビー玉を摘み上げると、初恋のある男の子のことを思い出す。
(懐かしいな。あの子どうしてるだろう)
幼い頃、ひと夏だけ過ごしたその男の子と私は一緒にお祭りに行ったことがある。
そこで二人で半分こをして『サマーサイダー』を飲んだのだが、その子が別れ際、プロポーズの言葉と一緒に渡してくれたのがこのビー玉だ。
──『大人になったら、ひーちゃんをお嫁さんにするね』
私のことを『ひーちゃん』と呼んでくれていた、あの子は王子様みたいに綺麗な顔をしていた。
(名前は覚えてないけど『おーちゃん』って呼んでたな……)
両親を亡くしたばかりの私にとって、あの男の子との過ごした夏の思い出はとても印象に残っている。
そして一緒に『サマーサイダー』を飲んで笑顔になれたことも。
就職活動の時、この会社を第一希望にしたのはその思い出が大きい。
(今年こそ、和馬とお祭り行けたらいいな)