クズなキミからの不適切な溺愛
「……実は光莉さんに嫌がらせしてる職場の派遣社員がいて、彼女について調べて欲しいんだ。名前は高梨美蘭」

話を聞いた神楽さんは神妙な顔をすると、メモとペンをカウンターに置く。差し出されたメモに私は美蘭のフルネームを記載する。

「できるだけ情報あった方がいいから、年齢や派遣会社名も書いて貰えたら助かります」

「わかりました」

私は知っている限りの情報を書くと、神楽さんにメモを返す。

「ちょうど明日、そのお客様がご来店予定なので依頼しておきます」

「ありがとうございます、宜しくお願いします」

神楽さんが目だけで頷く。

「また詳しいことは恩志に連絡するな」

「助かる」

二人の会話が、ちょうど終わると同時に、神楽さんはやってきたアルバイトの男の子から注文をうけ、シェーカーを振り始めた。



「これで、何かわかるといいんですけど」

「そうだね、……色々ありがとう」

「いえ」

高梨さんが私に向ける憎しみの理由がわからない限り、対処のしようがない上に、さすがの私もやられてばかりは性に合わない。

でも知るのが怖いと言う気持ちも存在している。

あれ程までに強く恨まれるような何かを、私は彼女にしてしまったのだろうか。

「大丈夫ですよ。俺がいますから」

「……頼りにしてるね」

私の素直な言葉に彼がまた頬を染めるのを見ながら、スプモーニを飲み干した。

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