クズなキミからの不適切な溺愛
思わず、そう口にしてからハッとしたが、光莉さんは俺からするりと両腕を離すと、そのまま目を閉じた。途端に寝室に静かな吐息が聞こえてくる。

「……え? 光莉さん? ……まさか、寝てないすよね?」

「…………」

「待って、また寸止めすか?」

「…………」

「いやいや、無理ですって」

「…………」

「嘘だろ……」

さすがにここまできて、俺の大事なあそこは大きく膨らんでおり到底収まりそうにない。
ましてや禁欲生活も二ヶ月だ。

「……ねぇ、続きしていい?」

彼女の頬っぺたをびよん、と引っ張ってみるが、光莉さんは幸せそうな顔で眠っている。

「完全……寝てんじゃんか」

俺は光莉さんが風邪をひかないように身だしなみを整えてブランケットを掛け直してから、盛大にため息を吐き出した。

「マジでキツイって」

俺はなんとか下半身を収めるべく、隣に寝転がると深呼吸を繰り返す。
無理矢理抱くことも勿論可能だが、そんなクズみたいなことはしたくない。

「ん……っ」

「光莉、さん?」

光莉さんがねぼけて、擦り寄ってくると、俺の腕を抱き枕みたいにぎゅっと握る。

「……とことんですね」

そう呆れた声を出しながらも、普段と違って甘えてくる彼女は愛おしい。

俺はそっと彼女の髪に触れる。

「おーちゃんのこと覚えてるんすか?」

返事がないのがわかっていながら、俺はそう口に吐く。

「またこんな風に会えるとか、運命じゃないすか?」

そう、これは運命の恋だと思う。

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