クズなキミからの不適切な溺愛
※
あれは俺が八歳の夏の日──俺は光莉さんに恋をした。
彼女と出会ったのは、蝉の鳴き声が響く暑い日だった。
夏休みといえど家にいれば、顔を合わすたびに繰り広げられる両親の喧嘩の声を聞くのが嫌で、俺は一人、川辺にきて過ごすことが多かった。
逃げるようにして川辺にくると、その日は見知らぬ水色のワンピース姿の女の子が一生懸命、木登りをしているのを見つけた。
(何やってんだ?)
その子は慣れない手つきで木の幹に手を伸ばすが要領を得ないため、登ったそばからすぐにズルズルと降りてきてしまう。
それでもその子は、何度も何度もチャレンジしている。
(いい加減諦めろよ)
そのとき、2メートルほど登っていた彼女の足が幹から離れ、落下するのが見えた。
(あぶな!)
『きゃ……っ』
気づけば俺は彼女を受け止めながら、尻餅をついた。
『痛ってー……』
『ごめんなさいっ』
俺は謝る彼女を無視して起き上がると、土ほこりを払う。
『そんな細い腕したお前には無理だからもうやめとけ』
『嫌だよ、空の近くに行きたいから』
『はぁあ?』
そして、また登り始めた彼女に俺はため息を吐きつつ、仕方なく登り方を教えた。
人と関わることが面倒だと思っていた俺がなぜそんなことをしたかと言うと、きっと彼女が自分と同じように、今にも泣き出しそうな顔をしていたからだと思う。
あれは俺が八歳の夏の日──俺は光莉さんに恋をした。
彼女と出会ったのは、蝉の鳴き声が響く暑い日だった。
夏休みといえど家にいれば、顔を合わすたびに繰り広げられる両親の喧嘩の声を聞くのが嫌で、俺は一人、川辺にきて過ごすことが多かった。
逃げるようにして川辺にくると、その日は見知らぬ水色のワンピース姿の女の子が一生懸命、木登りをしているのを見つけた。
(何やってんだ?)
その子は慣れない手つきで木の幹に手を伸ばすが要領を得ないため、登ったそばからすぐにズルズルと降りてきてしまう。
それでもその子は、何度も何度もチャレンジしている。
(いい加減諦めろよ)
そのとき、2メートルほど登っていた彼女の足が幹から離れ、落下するのが見えた。
(あぶな!)
『きゃ……っ』
気づけば俺は彼女を受け止めながら、尻餅をついた。
『痛ってー……』
『ごめんなさいっ』
俺は謝る彼女を無視して起き上がると、土ほこりを払う。
『そんな細い腕したお前には無理だからもうやめとけ』
『嫌だよ、空の近くに行きたいから』
『はぁあ?』
そして、また登り始めた彼女に俺はため息を吐きつつ、仕方なく登り方を教えた。
人と関わることが面倒だと思っていた俺がなぜそんなことをしたかと言うと、きっと彼女が自分と同じように、今にも泣き出しそうな顔をしていたからだと思う。