クズなキミからの不適切な溺愛

ギシッギシッと規則的にベットが軋む音を聞きながら、暗闇であたしは奥歯を噛み締める。


(──失敗した)

本来なら、新名先輩のキャリアに傷をつけ、大事な仕事を台無しにしたお祝いに、クラブで朝まで酒とホストに酔いしれるつもりだった。

そう。失敗さえしなければ、ここにくるつもりは毛頭なかった。


あたしは和馬の部屋のベッドの上で、腰を振りながら次の計画を練る。

「……っ、ごめん、美蘭……もうっ」

あたしの下でうめき声をあげている和馬を追い込むように腰の動きを早めれば、すぐに彼が果てた。

あたしはゴロンとベッドに横になる。


「はぁ。気持ち良かったよ」

「あたしも」

あたしは心にもない返しをする。

(もうすぐこの男も用済み)

和馬がベッドから起き上がり台所へ行くのを見ながら、あたしは無意識に人差し指の爪を噛んでいた。

(新名光莉。アンタが悪いのよ)

(全部、全部アンタのせいなのに)

(次こそは……)

苛立ちが全然収まらない。

頭には新名先輩の被害者面がこびりついて離れない。


「美蘭ー、水飲む?」

あたしは気だるい身体をベッドから起こしながら、和馬に返事をする。

「いらない。ね、パソコン借りていい?」


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