クズなキミからの不適切な溺愛
てっきり吉良の気まぐれかと思っていた。

遊ばれ無惨に捨てられた彼女を慰めてやり、その上で再び光莉とヨリを戻すつもりだったのに、僕の予想も計算も大きく覆された。

──バンッと、僕は浴室の壁に拳をぶつける。

「この僕を拒むなんて、ゆるさないよ」


この前、資料室でこの僕が折れてやったにも関わらず、光莉は頑なに拒み挙げ句の果てには僕と交際していたことを後悔させるな、とまで言う始末。

あの場は吉良のせいであれ以上、光莉と話せなかったが、光莉はまだ僕の元に取り戻せるはずだ。

僕たちの二年間は吉良とのわずか数ヶ月の絆とは比べものにならない。なってたまるか。


「クズの吉良から目を覚まさせてやらないとな」

そのためなら多少強引な手を使うのも止むを得ない。

僕がこれからすることは全て光莉のためなんだ。光莉が意地を張るのをやめて僕のところに戻ってくるための秘密の魔法。

(さて、どこからはじめよう)

(連絡して反応をみてみるか)

(それでも光莉が頑ななら──)


「……光莉には僕なんだよ」

僕はシャワーの水栓を止めると、クッと笑った。

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