クズなキミからの不適切な溺愛
「あの……昨日はまた、その酔っ払ってごめんね」

彼が瞼を開けると、少し口を尖らせた。

「あー……まさか拷問を二度もくらうとは思ってなかったすね」 

「だよね……その、想像するに大変申し訳なく」

「想像してくれんだ?」

吉良くんはふっと笑う。

「いいよ、ゆるしてあげる。その代わりぎゅっとしていい?」 

「え? いいよ」

彼はすぐに私をぎゅっと抱きしめる。

「はぁ……やば。落ち着く」

(私は全然、落ち着かないけど……)

心臓はとくとくうるさいが、でもこうやって朝から彼に抱きしめられるのは心地よく、何より愛情を感じて嬉しい。

「不思議ですね」

「ん?」

「夜は落ち着くどころか拷問なんすけど、朝は光莉さんがいるってだけで……」

そこまで言って彼は恥ずかしそうに口籠った。

「吉良くん?」

「……いや、幸せだなって」

「えっと……あの、その、うん」

「なんか照れますね」

「だね。でも私も同じ気持ちだよ」

そう素直に口にすると、彼が眉を下げた。


「光莉さんの得意技って拷問すね」

「え? なんかその得意技、嫌かも」

「あはは、いいじゃないすか。攻撃力ハンパないですから」

彼に釣られて私もクスクス笑う。

(いつの間にこんなに好きになっちゃったんだろう)

一緒にいるとドキドキして、心が幸せでいっぱいになって、二人で過ごす時間が尊くて愛おしい。

「今日も好きですよ」

彼が私を抱きしめて、私は彼の背中に手を回した。そして彼が目を閉じてうとうとするのを見ながら、私も瞼を閉じた。


──私はもう恋に堕ちている。

まるで空から星を堕とすように、目の前のキミに。

< 115 / 218 >

この作品をシェア

pagetop