クズなキミからの不適切な溺愛
「……期間限定だけどな」

「てか、《《あの》》恩志がいまだに我慢してるってのが愛だよな〜」

「《《あの》》とか言うな。俺だってやればできんの」

「必死こいてんだろ?」

「黙れ」

「お坊ちゃんは恋も仕事も大変だな」

その言葉に俺はあからさまに口を尖らせた。

「その呼び方、俺キライ」

「王子様のが良かった?」

「もっとキライ」

「ははっ、ワザとだけどな」

「知ってる。マジで悪趣味だな」

「褒め言葉をどうも」

「褒めてねー」

ククッと笑みを漏らしながら、亮輔は手際よくシェーカーを振り、マティーニを俺の前に置く。

「てかさ。お前さっきの、光莉さんに言うなよ?」

「さっきのってお坊ちゃん?」

「それ」

「なんで黙ってんの?」

──そう、俺は光莉さんに言ってないことがある。

と、言うよりもこのことを知っているのはプライベートでは亮輔だけで、社内ではごく一部の重役しか知らないトップシークレットだ。


「光莉さんに余計なプレッシャーっていうの? そういうの感じて欲しくない」

「でもいずれ話すだろ、って言うか話さないとな」

「わかってる。外から漏れる前には俺から話すつもり」

だが、いまは期限である三ヶ月目の夏祭りの日に想いを伝え、彼女の想いを聞くのが先決だ。

できれば高梨の問題をそれまでに解決しておきたい。
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