クズなキミからの不適切な溺愛
私にとって今の仕事は、控えめに言っても大好きな仕事だ。

自分が携わったプロジェクトから新商品が生まれたときの達成感や喜びもそうだが、何と言っても“飲料”は沢山の人の笑顔に繋がる仕事だと思うから。

目の前の仕事が誰かの笑顔を作っていると思えるだけで私の心はいつだって弾む。ワクワクするのだ。


でも──、一年前。

二人でいる時に何気なく、結婚の話をした時に私は仕事を続けたいと言ったが、和馬は微妙な顔をしていた。


「和馬の笑顔、いつ見たかな」

思い出そうとするが、和馬が心から笑った顔はここ最近は一度も見ていない。

(どうしたらいいんだろう……前みたいに普通に『恋人』がしたいだけなのに)

現在、私は二週間に一度、和馬の家に行き洗濯と掃除を済ませ、大量の手料理を作っている。

食生活が乱れがちな和馬のために、また和馬自身からの要望もあって、料理を冷凍して彼がいつでも好きなときに食べれるようにしている。

でも和馬はその間にシャワーを済ませ、先にベッドに潜り込み寝てしまう。疲れているだけなのかも知れないが、なんだか求められないことが増えると無性に空しくて苦しくなることがある。


「このままじゃ……ダメだよね」

(ちゃんと話したい)

(いつか生涯のパートナーになるかもしれないなら尚更)


私は自宅に向かっていた足を駅の方に向ける。

そして鞄に和馬の家の合鍵が入っていることを確認してから、和馬のアパートへと向かった。


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