クズなキミからの不適切な溺愛
私はコンビニで明日の朝食用に食パンと牛乳を買ってから和馬のアパートに辿り着く。


(明日の朝はフレンチトーストと冷凍しておいたスープでいいよね)

見上げた二階の和馬の部屋はまだ真っ暗だ。


(連絡もなしに行くのは初めてだけど……合鍵貰ってるしいいよね)

私は階段をあがると、鍵穴に鍵を差し込み、そっと扉を開いた。

その瞬間、呼吸が止まる。


(え……?)

玄関先に並べられているのは和馬の靴と女性用のページュのパンプスだった。

(この、靴って……)

私はそのパンプスに見覚えがあった。

そして室内からはどこかで嗅いだことがある香水の匂いが鼻を掠める。

(この匂い……)


また室内は暗く静かだが、部屋の奥にある寝室の扉の隙間から光が漏れており、かすかに男女の声が聞こえてくる。

(和馬?)

私は無意識にコンビニ袋を音を立てずに玄関に置くと、靴を静かに脱いで寝室へと向かう。

どくん、どくんと心臓がうるさく跳ねる。

(そんなことないよね)

(確か、和馬って妹さんいたよね)

でも妹と寝室に二人きりなんて常識的にありあるのだろうか。

(違う。そんなことあるはずない)

そう思うのに寝室の扉が近づくにつれて心臓はどんどん嫌な音を立てる。

そしてドアノブに手をかけた時だった。



──「和馬〜、今日も気持ちよかった」

(!)

甘ったるく、その意図した舌足らずな話し方に私は血の気が引く。
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