クズなキミからの不適切な溺愛


私は仕事を終えると朝、美蘭と話した公園に向かっていた。

美蘭が強制的に帰宅させられたあと、案の定、他部署の社員がやってきて課長にことの経緯を訊ねていたが、課長は捏造の可能性が高いと突っぱねてくれた。

そして就業間際には、どうやったのかわからないが吉良くんが戻ってくるとメールログの解析結果を課長に報告し、メールを送ったのは間違いなく高梨美蘭だと言うことが発覚した。

(多分、来るはず)

私は公園の入り口に辿り着くと、さりげなく振り返る。すると木の陰からこちらを伺っている吉良くんと目が合った。

彼に夜に美蘭と会う約束をしたことを話すと同行すると言ってくれたが、私は断った。その代わりに彼は私に何かあった時、すぐに駆けつけれるように、近くで身を潜めることで話がついた。

(高梨さんと二人きりで話したい)

(《《あのこと》》が原因なら尚更)

メールのことが明らかになった以上、近く派遣会社経由で退職が決まるであろう彼女が、ここに来ない可能性もあるが、彼女なら最後に私に会うためにここに来る気がした。

公園のベンチが見えて座ろうとすれば、目の前に黒のフードを被った人影が現れた。

「遅かったですね」

「高梨さんこそ、いつも遅刻ギリギリなのに早いじゃない」

「はっ、嫌味ですか。悪趣味ですね」

「そっちこそ犯罪じゃない。あんなことしてタダで済むと思わないで」

語尾を強めれば彼女がフッと笑う。

「何がおかしいの?」

「その被害者面って死んでも直らないんだろうなって。《《加害者のくせに》》」

「加害者? それはあなたでしょ」

私はジャリっと地面を鳴らすと、彼女と一歩距離を詰めた。


「私の両親が死んだ事故の加害者である、芝田義平(しばたよしひら)の一人娘──高梨美蘭さん」

美蘭が一瞬、目を見開いたがすぐに私に憎悪を秘めた眼差しを向けた。

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