クズなキミからの不適切な溺愛
※※

「困ったな……」

あのあと俺の腕の中で倒れた光莉さんの身体が熱いことに気付いた俺は、彼女を自宅に連れ帰りベッドに寝かせた。

ピピッと体温計が鳴って見れば、『38.5℃』の数字が浮かんでいる。

「熱高いな」

(救急病院行くか)

明日は土曜日なので午前診の病院はあるだろうが、これだけ熱が高いと心配だ。 俺がタクシーを呼ぶ為にスマホを持って立ちあがろうとすれば、華奢な手がスーツのジャケットの裾を握った。

「ケホッ……ごめ、吉良くん」

「あ、起こした?」 

俺はすぐにベッドサイドにしゃがみ込む。

「熱あるからうちに連れてきた。今からタクシー呼ぶから病院で診てもらおう?」

「……ううん、家帰る」

「え? なんで、落ち着かない?」

「ちが……ケホ……吉良く、んに移したらいけないから」

「俺のことなら気にしなくていいから。こうみえてもう十年は風邪引いてないから」

そう言って、そっと頭を撫でるが光莉さんは小さく首を振る。

「だめ……ケホッ……」

起きあがろうとした光莉さんをそっとベッドに押し返す。

「こんなときくらい甘えて。あと風邪引いてるときって心細いから、俺そばにいるね」

そっと髪を撫でれば、彼女が熱った顔で小さく頷いた。


「……ごめん、ね。ありがと……」

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