クズなキミからの不適切な溺愛
「何……?」

「俺、内示出て異動になりました」 

「え?!」

驚かないでと言われていたのに、つい大きな声が出てしまった。

「どこに?」

思わずそう聞いてから、私はごめん、とすぐに謝った。内示は正式に辞令が出るまでは、他人に内容を漏らさないのが暗黙のルールだ。

「すみません。どこかは言えませんけど、でも引越しは伴わないないので安心してください」

「あ、そうなんだ……良かった」

引越しを伴わないと言うことは、部署内異動の可能性が高い。

吉良くんは営業だけでなくシステムにも詳しいみたいだから、もしかしたらそっち方面への異動なのかもしれない。

(……でも、一緒の部署で働けなくなる可能性が高いってことだよね)


吉良くんが入社してきてから二年、ずっと彼が隣にいた。辞令が出て同じ社内にいるとはいえ、隣から彼がいなくなるのはやっぱり寂しい。

「そんな顔してくれると嬉しいですね」

「え?」

「寂しいって書いてあります」

「それは……寂しい、よ」

私の返事に吉良くんが面食らった顔をした。

「はぁあ……めっちゃ素直じゃん」

「え? 何か間違えた?」
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