クズなキミからの不適切な溺愛
「いや全然嬉しいんですけど。俺がヤバいだけです。まぁ、ここまできたら耐えて見せますけどね」

(?)

彼はそう言うとキョトンとしている私から菜箸と油切りを取り上げる。

「俺やります。明日、夏祭りなのに火傷したらいけないから」

「でも吉良くんが火傷したらいけないし」

「気をつけます。俺、光莉さんが火傷するのだけは嫌なので」

今までもこういう些細な会話はしてきたが、こういう時の吉良くんは絶対譲らないことを私は知っている。

「じゃあ……お願いしようかな。きつね色になったらひっくり返して3分くらいかな。本当に気をつけてね」

「大丈夫です。仕事疲れたでしょう。お茶でも飲んでゆっくりしてて」

「うん……」

私はチキンカツを揚げ始めた彼の背中をじっと見つめる。

(本当に優しいな)

(私には勿体ないよ……)

この恋する気持ちは細胞分裂を繰り返して大きく膨らんでどこにもいけそうもない。

(大好きすぎて、どうしたらいいかわかんないくらい)

(吉良くんが思ってるよりずっと、好き)

明日の夏祭りでは、そう彼にありのまま伝えよう。

私はグラスにルイボスティーを注ぎ入れると夏祭りへ思いを馳せながら、そっと口付けた。

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