クズなキミからの不適切な溺愛
※※

「じゃあ、そろそろ帰りますね」

吉良くんは夕食を終えて洗い物を終え、紅茶を飲むと席を立つ。

いつも通りの彼の行動なのに、まだ一緒にいたいなんて思うのは我儘だろうか。


(明日の夏祭りまで会えないのが寂しいなんて……) 

(言われても困るよね) 


彼はジャケットを羽織ると、ネクタイをビジネスバッグに放り込み玄関へ向かっていく。

「明日18時に迎えに来ますね」

「うん……」

「じゃあおやすみなさい」

「おやすみ、気をつけてね」


彼は私に向かって微笑むと玄関から出ていく。

(帰っちゃった……)

頭の中では十回ほど『良かったら泊まる?』『泊まっていかない?』などいろんなバリエーションのセリフを考えては見たが、結局口にすることができなかった。


「こんなんで明日ちゃんと言えるのかな」

(言葉にしないと何にも伝わらないのに……) 

私は二人分の空のマグカップを流しに持っていきながら、ぶんぶんと首を振った。

(やっばりまだ一緒にいたい)

私は急いでサンダルを履くと、勢いよく扉を開けた。

そしてすぐに目を見開いた。
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