クズなキミからの不適切な溺愛
「良かった」

「え? 吉良、くん」

壁にもたれ掛かっていた彼は、私を見て微笑むとすぐに玄関扉に手をかける。  

「なんか名残惜しくて、光莉さんが追いかけてきてくれないかなって待ってた」

「あのね、……私も」

彼が私の頬に触れると、私の目をまっすぐに見つめた。

「泊まっていい?」

「……うん」

私は彼を再び招き入れると、背の高い彼を見上げた。

「どうして、わかったの?」

「ん? 何が?」

「その私が……泊まって欲しいなって思ってたこと」

「そんなの顔見たらわかるよ」

彼がふっと笑うのを見て、私は何もせずにいられなくて、気づけばぎゅっと抱きしめていた。

「お……っと」 

戸惑いを含んだ低い声に重ねるように、私は小さく口を開く。

「……早く夏祭りになればいいのに」

もどかしくてたまらない。でも約束の三ヶ月の日である夏祭りはもう明日。

この期間限定の恋の行方が決まるのはもうすぐそこだ。

「明日はきっと特別な日になるから」

「うん」

(嘘偽りなく伝えたい)

(これからもずっと一緒にいたいから)

彼は私の背中に両腕を回すと、優しく抱きしめた。
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