クズなキミからの不適切な溺愛
「何? じっと見られると緊張するんですけど?」

「あ、ごめん……、つい」

ぱっと顔をそらせば、吉良くんがまた笑う。

「光莉さんの前だと俺、平静保てないんで」

そして私の耳元で甘い声でそっと囁く。

「ね、できないことあったでしょ」

「……っ、もうそんなことばっかり言って」

私が耳を手で覆って彼の胸をトンと突けば、彼は意地悪く笑う。


「あ、俺らの番ですね」

たわいない会話をしているうちに順番がきていた。吉良くんは二人分お金を払うと私に射的銃を渡し、自分も手に持った。

私は吉良くんの横で構えてみる。

「光莉さん、もうちょい下」

「こう?」

「ですね」

私は片目を瞑ってパンダのマーチ目掛けて、コルクを発射する。

──が、コルクはパンダのマーチの真上を通過した。


「打つ時は思ってるよりも銃口下めにしてみてください」

「えと、分かった」

(よし、次こそ)

──しかし、そのあとの二発も不発に終わり、パンダのマーチはびくともしない。

「あー、終わっちゃった」

私は射的銃を台に戻すと、隣の吉良くんの後ろに回る。


「吉良くん、あと何発?」 

「あと一発ですね」

彼は真剣な表情で狙いを定めながら、下唇を湿らせた。

彼の些細な仕草ひとつでも私の心臓はすぐに跳ねる。

(私ってば……射的姿にまでドキドキするなんて)

「見ててくださいね」

私が頷けば彼が引き金を引く。

──パンッ!
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