クズなキミからの不適切な溺愛


(最悪、最低……っ)

私は和馬のアパートを飛び出すと、頬に勝手に流れる涙を何度も拭いながら、当てもなく走っていく。

(なんで?)

頭の中は疑問符だらけだ。

付き合ってニ年、大きな喧嘩もなく、いつかは結婚を考えていた人にこんな風に裏切られるなんて、やっぱり信じられない。でもこれが夢だとも思わない。

「僕専用の……仲居さんって何よ」

和馬からそんな言葉が出たことに酷く傷ついた自分がいる。


(いつから高梨さんと……?)

(いつから私のこと恋人だと思えなくなった?)

「……言えばいいじゃない」

浮気するほど私に気持ちがないなら、もっと早く言って欲しかった。それならその分だけ好きな想いを早くに忘れられるから。

和馬のためと思って得意な家事をしたことがそんなにダメなことだっただろうか。おせっかいだっただろうか。ただの自己満足だったのだろうか。

好きな人の力になりたいと思っていただけなのに、この気持ちはそんなに彼にとって重荷だっただろうか。

(バカみたい)

(あんな人と……二年も付き合っていたなんて)

どうしようもなく惨めな気持ちになって涙は勝手に流れてくる。

「……ぐす……っ」

そして走り疲れた私が足を止めれば、いつのまにか駅の近くの公園にたどり着いていた。

(少し……座りたい)

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