クズなキミからの不適切な溺愛
「な……、急に言われても」

「いいじゃん。あ、俺の名前知ってるよね?」

「吉良……恩志くん」

「正解。じゃあ吉良取って」

彼女は一回下唇を湿らせてから、小さく口を開く。

「お、恩志くん」

その瞬間、ぶわっと顔を赤くした彼女に俺の理性がそのへんに飛んでいく。

俺は彼女の頬にちゅっとキスを落とすと耳元で囁いた。

「可愛い」

「……っ、意地悪ばっかりしないで」 

好きな子はいじめたいとか言うのはドラマや漫画の世界だと思っていたがあながち、間違っていないと思う。いじめて困る顔も、ベッドで甘い声をだしながら見せる色っぽい顔も俺の前だけにして欲しい。


もう誰にも一生渡さない。
離してやるもんか。

「ごめん。今夜はもうしないね。じゃあ前向いて」

これ以上、彼女に構うと本気で三回目の押し倒しになりそうで、俺は自粛すると決めるとドライヤーで彼女の猫っ毛を乾かし始めた。


そして髪を乾かし終えて、ドライヤーの電源をオフにした時だった。

「はい、完了です」

「ありがとう」

──ピンポーン 

「え?」

先に声を発したのは光莉さんだった。

「誰すかね」

ぱっと時計を見れば二十二時前だ。

(こんな夜にセールスとかでもねぇな)

俺は牽制も兼ねて大きな声をだす。

「いま開けまーす」
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