クズなキミからの不適切な溺愛
俺は光莉さんに目で合図して、リビングで待つよう指示すると玄関扉ののぞき穴から外を見る。
(誰もいない?)
俺はよく確認しようと勢いよくドアを開け放ったが、やはり廊下にも誰もいない。
(間違えた?)
(いや、そんなことあるか?)
「吉良、くん?」
光莉さんの声に振り返ると、彼女も玄関先まできていた。
「誰もいなかった」
「間違え、たのかな?」
俺は扉を閉め彼女とリビングに戻りながら、何とも言えない嫌な予感がした。
「念のため、毎晩来るようにするけど施錠しっかりして。あと俺がいない時は誰きても開けないようにね」
「うん、わかった」
「あと、今日泊まるわ」
「え……、いいの? でもスーツは?」
「明日の朝イチ取りに帰る。このまま帰るの心配だし」
そう言うと彼女が頷き、すぐに例のお気に入りスウェットを手渡してくる。
「はい、これ」
「そんなこれ着て欲しいすか?」
「て言うか、吉良くんが帰るのいつも寂しかったから泊まってくれるの嬉しい」
「な……っ」
頬を染めてはにかみながら、無自覚に煽ってくる彼女に俺は気が遠くなる。
「吉良くん?」
「……全然耐えれます。問題ないっす」
「なんのこと?」
彼女はキョトンとしながら、首を傾けた。
「同じ気持ちってことですよ」
彼女が俺と同じことを思ってくれていたことは素直に嬉しい。俺もいつも彼女を置いて自宅に戻ることに寂しさを感じていたから。
「吉良くん?」
「好きすぎて、困りますね」
「えっと……」
(たまんねぇな)
俺は思い切り彼女をバックハグすると、ゆっくり顔をこちらに向けた彼女と、甘い甘いキスをした。
※※