クズなキミからの不適切な溺愛
「僕にとっても光莉しかいないんだ。君みたいな優秀な仲居はいないって気づいた。だから僕と結婚しよ」

「ふざけないで! 離して!」

いつから彼はこんな風になってしまったんだろうか。そしてふと美蘭の最後の言葉を思い出す。

──『犬井さん、気をつけた方がいいですよ』

彼女は何かを知っていたのだろうか。今となってはわからないが、彼女が和馬に対して何らかの違和感を抱いていたのは間違いない。

(どうしたら……)

今更気づいたからと言って、この状況では後の祭りだ。

「光莉には僕しかいないよ」

「勝手に決めつけないで!」

「はぁあ。素直じゃないな。僕が会いに来て嬉しいくせに」

「こんなの……、ストーカーじゃないっ!」

その言葉に和馬の顔が歪む。

「は? この僕が? 誰に向かって言ってんだよ!」

「きゃ……っ」

和馬が私のブラウスのボタンを無理やり引きちぎると、自身のネクタイを外し、私の手首を縛り上げる。

「嫌っ、やめて! やだ!」

何をされるのか察した私は懸命に身体を捩って足をバタつかせるが、和馬はビクともしない。

「じっとしてたら前みたいに可愛がってあげるからね」

そう言って彼の唇が鎖骨に強く押し当てられて、私は小さな悲鳴を漏らした。

「痛っ……やめて……、吉良、く……」

「はは。クズは来ないだろ。パーティー中なんだから」

その時だった──。

「誰がクズだって?」
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