クズなキミからの不適切な溺愛
思わず、ひとり夜道でそう口に出てしまった。

レンアイ童貞の俺が結婚という華々しいゴールに無事辿り着けるイメージは今現在、全く湧いてこない。


もちろん結婚はしたい。
それも光莉さんとなら今すぐにだ。

なんなら交際一週間記念に、婚姻届けをプレゼントするのはどうかと思ったが、それだけは絶対にするな、と安堂副社長からキツくご指導を受けた。

(プレゼントもしたいけどムズイよな)

(婚姻届がダメなら指輪もダメだよな)

(……調理器具とか? いやいや、まるで家事を強いてるみたいに取られかねないな)

なにか光莉さんに喜んでもらえるプレゼントを贈りたいが、嫌われるような物だけは絶対チョイスしたくない。そんなの本末転倒だ。

「副社長に、もうちょい詳しく聞けば良かったかな」

俺はザックリとだが、着実に好きな女性のハートを掴み結婚にこぎつけるまでのノウハウを伝授してもらった。

しかしながら、果たして安堂副社長の方法でうまくいくかどうかは疑問だ。とは言え、彼が恋愛上級者、さらには好きな女を手に入れた勝ち組であることは間違いない。

「ケースバイケースだよな」

「あと、あの三か条はマジで興味深いよな……」

俺は安堂副社長から伝授された好きな女を手に入れるための三か条を脳裏に浮かべる。


──『好きな女の喜ぶものは毎日でもプレゼントしろ』

──『好きな女にしてやれることは命を落とすこと以外は全部やれ』

そして『好きな女は本能のままに愛し尽くせ』とのことだった。

(とりま、これでいいかな)

俺は手にぶら下げているコンビニの袋に目をやった。

(てか金曜とはいえ……光莉さんもう寝てるよな)

(明日渡すか)

俺は気付けばいつのまにかたどり着いていた自宅アパートのエントランスを潜り、エレベーターに乗ると玄関扉の鍵を回した。

「おかえりなさい」
< 189 / 218 >

この作品をシェア

pagetop