クズなキミからの不適切な溺愛
「え?」

駆け寄ってきた光莉さんに俺は思わず目を見開いた。

「遅くまでお疲れ様」

「起きててくれたの?」

「もちろん。恩志くんがお仕事頑張ってるのに私だけ先に寝られないよ」

(やば……マジでやば)

俺は光莉さんの手首を引き寄せると、ぎゅうっと抱きしめる。

俺と同じシャンプーの匂いがして、玄関先にも関わらず押し倒したくなってくる。


(本能のままにってことは玄関もアリ?)

(いや、玄関とかないだろ……光莉さんに失礼すぎる)

愛しい彼女はベッドで優しくもてなすのが男の礼儀だ。

(間違いない)

俺はそう結論づけると、彼女から体を離した。

「恩志くん、ジャケットと鞄預かるよ」

「え……っと、あのはい」

「どうしたの?」

「いや……なんか」

酒のせいもあるのだろうか。

家に帰ってきてジャケットと鞄を預かってくれる彼女が、はやく俺の奥さんになってくれたらいいのになと切実に願ってしまう。

彼女はテキパキとジャケットをハンガーにかけ、鞄をリビングの隅に置く。


「恩志くん、朝ごはん買ってきてくれたの?」

「え?」

彼女がこちらに向けている視線をたどってから俺はすっかり忘れていた、彼女へのプレゼントを差し出した。


安堂副社長から伝授された三か条のうちのひとつを早速、実践してみたのだ。
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