クズなキミからの不適切な溺愛

俺は洗面所から戻るとネクタイを緩め、光莉さんと向かい合って手を合わせる。

「いただきま~す」

「いただきます」

すぐにコロッケをほおばれば、牛ミンチとジャガイモの絶秒なバランスと甘みに俺は感嘆の声を上げた。

「うわぁ、やば。すっげーうまい」

「良かった」

「これは売れますね、神コロッケです」

「言い過ぎだし、神コロッケってなに」

「ようはコロッケの神様ですね」

「そのまんまじゃない」

光莉さんが大きな目を細めて笑う。

彼女がいるだけで俺の平凡な日常は幸せで満ち溢れる。

なんてことない日々のあらゆるところに愛おしさが隠れていて、それにひとつ触れただけで幸せすぎて怖くなるなんて、ほんと俺らしくない。

さらにもしも一つだけ願いごとが叶うのならば、俺は迷わず彼女とずっと一緒にいたいと神様にお願いするだろう。

俺は恋の沼にどうやら、ズブズブに浸かってもはや一生出られそうもない。

(あー、マジで結婚したい)

こうやって同じご飯を食べながら、おじいちゃんとおばあちゃんになっても、くだらないことで笑ってたい。


「光莉さんのごはん、ほんと全部おいしいです」

「それは……えっと、ありがとう。嬉しい」

光莉さんは恥ずかしそうに眉を下げながら、麦茶にそっと口づける。

彼女の素直な反応と言葉に俺の心臓はすぐに騒がしくなる。
< 210 / 218 >

この作品をシェア

pagetop