クズなキミからの不適切な溺愛
(はぁあ。光莉さんって、なんでこんな可愛いんだろう)

(俺には、ほんともったいないよな)

そう考えながらも、光莉さんを手放すなんて毛頭ない。一生離してなんかあげない。

「あの恩志くん……」

「なんですか?」


「えぇっと、そんなに見られると、なんか困るんだけど……」

「すみません。つい可愛くて」

「やめてよ」

「あ、ソースついてますよ」

「え、嘘っ」

俺は《《ついてもいない》》ソースを取るフリをして、光莉さんの唇にそっと触れる。

ソースがついてると思い込んでいる光莉さんは、長いまつげを下に向けて唇をきゅっと結んだ。刹那、俺は光莉さんに見惚れる。

「……あの、取れた?」

「どうかなぁ」

俺がそのまま、そっと唇の淵をなぞるように触れれば、光莉さんの体が僅かにはねた。

そしてすぐに俺をキッと睨む。

「もう、恩志くん! おかしいと思ったの、ついてないんでしょ」

「あはは。バレました」

小さく舌を出した俺を見ながら、光莉さんがはっとした顔をする。

(?)

「なんですか?」

「恩志くんこそ、ソースついてるよ」

俺はすぐに口元を引き上げた。

「騙されないですよ」

そう答えると彼女が子供みたいに拗ねた顔をした。

「もう。なんでわかったの」

「バレバレっすね」

「いっつもやられっぱなし。つまんないな」

「ぷっ……」

彼女がやや本気で睨んでくるが、俺は緩む口元をそのままにコロッケを平らげる。

(ダメだ、とんでもなく可愛いじゃん)
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