クズなキミからの不適切な溺愛
(睫毛長いな)

そもそもこんなに綺麗な顔をした王子様みたいな彼が、平凡な私を好きだと言ってくれる理由はいまだに見つからない。
さらには彼に似合う女性だなんて言える自信なんてモノもない。

それでも、彼と離れるなんて到底考えられない。


「ねぇ……飽きたりしないでね」

「……ん……」

彼が小さくうなると、とろんとした目をこちらに向けた。その視線にはなんだか色気があって、私の心臓が鼓動を早くする。

「光莉……さん……?」

「あ、支えるからベッドまで歩ける?」

「……大丈……す」

「え、……、あ……っ」

彼は寝ぼけているようで、私のことを抱き枕みたいにぎゅっと抱え込んだ。

「好きです」 

「……っ」

体温の高い彼の胸に包まれながら、耳元で囁かれた低く甘い声に私の心臓は跳ね上がる。 

「でも、拷問……だけは……」

「え?」

「……次は……食べ……」

そこまで言うと、彼はこてんと私の肩に頭を預けて、すやすやと寝息を立て始める。

その無邪気な寝顔に私は思わずクスっと笑った。

「可愛い」

彼にはあまり言わないようにしているが、彼の寝顔も笑顔も可愛くて愛おしくて、いつも心があったかくなる。

「おやすみなさい。次はちゃんと食べてね」

私はリビングの電気をリモコンで消すと、彼の背中に手を回した。

そして彼の鼓動に心地よさを感じながら静かに目を閉じる。

いつまでもこんなささやかで、小さな幸せに溢れた日常が続きますようにと願いながら。


──恩志くん、大好きだよ






2025.10.11 遊野煌
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