クズなキミからの不適切な溺愛
「考えるくらいなら付き合うべきですって」

「はぁあ……私もう二十代半ばすぎたし、和馬のこともあったし、吉良くんみたいに簡単に好きとか言って恋愛できない」

少し尖った言い方に彼が眉間に皺を寄せた。

「好きの言葉の質量って、自分以外にわかんなくないですか?」

「急に難しいこと言わないでよ」

「要は俺の好きが、とんでもなく大きくて重い場合もあるってことですよ。って、いっても光莉さんは納得しないですよね。じゃあ黙っておくかわりに──」

彼が長い指を三本立てるとにこりと微笑む。

「三か月、付き合ってください」

「……何その、代替案……」

「寸止めしたこと黙っててあげますから」

「寸……って馬鹿じゃないのっ」

「お願いです」


彼の子犬みたいな潤んだ目と上目遣いに心臓が大きく跳ねる。 

(何これ。心臓がドキドキしすぎて痛い……)

「光莉さん」

人はショックなことがあると正常な判断ができなくなるというが本当だ。


私の名前を呼ぶ声が甘くて優しくて、クズな彼のことが知りたいと思う自分は確かに存在していて、今、この状況をどう判断するのが正解なのか段々わからなくなってくる。
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