クズなキミからの不適切な溺愛
「俺、恋愛って遊びでいい言って思ってたから……その、ちゃんと付き合うとかってしたことなくて」

「ええっと……すごく意外、かも」

恋愛なら百戦錬磨のイメージしかない吉良くんが誰とも付き合ったことがないのは意外だった。
たくさんの女の子と遊んでいた事実は今現在も受け入れ難いところではあるが、こういう彼の嘘がない素直なところは私も見習わないといけないな、なんて思う。

「信じてくれますか?」

「うん……二年も仕事で一緒だから。その吉良くんが嘘つかないの知ってるつもり」

「……なんか嬉しいけどハズいです。それによく考えたら付き合ったことないとか、今言うタイミングじゃなかったですよね」

「ううん。私は……聞けて……ちょっと安心したかも」

「安心?」

「手当たり次第の一人じゃないのかなって」

「光莉さんにはそんなことしない」

ふいに真面目な顔とトーンで言われると、どうしていいのかわからなくなってしまうが、彼のいう好きの想いがどのくらいの質量であれ、彼が私を初めての交際相手に選んでくれたという事実は純粋に嬉しい。

「でも私みたいに年上で可愛げなくて……仕事人間で……その吉良くんには」

「ストップ」

「俺は光莉さんがいいの。だからそんな風に言わないで」

「うん……」

吉良くんの私を優しく見つめる眼差しを見るたびに、彼に抱いていたクズの遊び人のイメージはどんどんと崩れていく音がする。

「食べていいですか?」

「うん、どうぞ」

彼がお箸を持って頂きますのポーズをする。

「お口に合うかわかんないけど」

「絶対合うでしょ」

彼はすぐに卵焼きを口に放り込む。

「うまっ!」

(太陽みたいな笑顔……)

私は無邪気に笑う彼に見惚れてから、赤くなった顔を誤魔化すように、半分このメロンパンを齧った。
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