クズなキミからの不適切な溺愛
※※

(きっしょいんだけど!)

あたしは新名先輩のアパートの前の電信柱の裏側でカチカチと爪を噛んだ。

新名先輩の自宅から出てきた吉良は見たことない柔らかい表情で、スマホを弄っている。

そして、メッセージでも送り終えたのかアパートの二階に視線を向け、暫く見つめてから背を向けて歩き出す。

「何よ、あの顔」

その表情は間違いなく恋人に向けるような眼差しで、あたしははらわたが煮えくりかえる。

(あんな美人でもなんでもない女が……)

(ほんとに吉良と付き合ってたなんて)

「イラつかせる天才ね」


今日の昼休み、せっかく新名先輩の前で和馬との仲を改めて見せつけることで、ドン底を味合わせるつもりだったのだが、吉良のせいで台無しになった。


吉良の剣幕に思わずあの場はは引いたが、あとから考えると二人が交際なんて絶対に有り得ないと思った。

なぜならあの吉良は女遊びが派手で、そもそも新名先輩の好みではない。

そして一番の理由は真面目な先輩が和馬に捨てられて、すぐに他の男と付き合うなんてありえないと思ったから。

「一体、どういうつもり……?!」
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