クズなキミからの不適切な溺愛
あたしは電信柱に爪をギッと立てると、二階の新名先輩の自宅を睨みつける。
「疫病神のくせして」
──あの女のせいで、あたしの家族はめちゃくちゃになった。あたたかくて自慢の家族はあっという間に崩壊した。
苦しくて悲しくて絶望を味わう日々だった。
やがて、その黒い感情はあの女へ復讐することへとカタチを変えた。
あれは、一年半程前のことだった。あの女の名前を検索した際、ツリードリンクHDのホームページに掲載されていたのを見つけたのだ。
──神様はあたしの味方だ。
そう強く思ったあたしは、所属する派遣会社の禿げた課長に身体を売ることで希望通り、今の会社に派遣された。
「あの女だけは……絶対に幸せになんてさせない」
そう。あたしの目的はあの女の大事なものを全て取り上げて台無しにして、絶望させること。
「もっと苦しめてやるから」
あたしは口元を三日月に模すと、キャップを深く被り直しその場を立ち去った。