クズなキミからの不適切な溺愛
課長のデスクに行くと見せられたのは今私が手掛けている、新商品の紅茶のパッケージのデザインだった。二週間ほど前にデザイン案を提出しFB待ちをしていた案件だ。

産地から厳選した葡萄の果汁を使った夏限定のアイスティーで全国のコンビニ、小売店、自動販売機での発売が決まっている今までで一番大きな仕事だ。


「ここのロゴ周りの色味、もう少し押さえて欲しい。あと今回、夏限定の新商品としてもう少し夏を感じさせるものに変更して欲しい」

「この葡萄のデザインはそのままで、夏を感じさせるとなると、背景の色味をもっと淡いブルーで調整するのはいかがでしょうか? あとフラッシュ案ですが波模様を使うのも良いかと思いました」

「さすが新名さん、その方向で調整してみて欲しい」

「わかりました」

そして課長の席から離れようとした時だった。


「新名さん、《《彼女》》だけど最近は大丈夫かな?」

課長の小声にその彼女が誰を指しているのかすぐにわかったら私は小さく頷いた。

「最近は仕事も真面目にこなしてますし、病欠等もありません」

「わかった。また何かあったら言ってもらえると」

「承知致しました」

そして私がデスクに戻ると吉良くんと目と目があう。

言葉に発してはないが大丈夫?と問う視線に小さく頷いて見せた。すぐに彼はパソコンに視線を戻す。


私は先程課長から言われた締切期限を卓上カレンダーに丸印をつける。


(……そういえば吉良くんと付き合って三週間か)

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