クズなキミからの不適切な溺愛
私はすぐに送られた資料を確認すると、増えたロット数に応じて単価を再計算し、見積書と契約書を書き換え、すぐに吉良くんのパソコンに送信した。

「吉良くん、いま送った」

「ありがとうございます」

吉良くんはすぐに印刷を済ませると鞄を抱えた。そして席を立ち上がると同時に、私のデスクに付箋を貼り付けた。

(ん?)


「営業行ってきます」

吉良くんはそう言うと颯爽と事務所をあとにする。

彼の今日の予定は、営業から試飲会に参加で直帰予定だ。


私は付箋をそっと確認する。

──『資料助かりました。夜、会いたい』

(な……っ)

前半の文章と後半の文章の落差に、飲んでいたカフェラテをむせそうになる。

(もう……振り回されてばっかりじゃない)


そう心で毒づきながらも、すでに今夜が楽しみになっている私は、もう吉良くんの手のひらの上なのかも知れない。

私は辺りを見回してから、付箋をそっとポケットにしまった。
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