クズなキミからの不適切な溺愛
「大丈夫?」

「すいません、結構飲んだんで」

「どこの取引先と飲みに言ったの?」

「安堂不動産とTONTONです。二社共、自社イベントでうちの飲料を大量発注してくれてて」

どちらも昨年から吉良くんが営業担当をしている大企業の取引先だ。

「副社長も本部長も酒強いんで、俺も飲み過ぎました」

コップに水を注いで彼に差し出せば、すぐに喉を鳴らして飲み干す。

「うま……」

「もう一杯持ってくるね」

「──待って」

吉良くんの両手が伸びてきて、あっという間に私の身体は彼の腕の中だ。


「……吉良、くん。酔ってる?」

「酔ってないよ」

彼の低い甘い声が耳をくすぐって、私の鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと思うほどに、大きな音を立てている。

「めちゃくちゃいい匂い……」

「……っ」

吉良くんの唇が僅かに首筋に触れて、身体がビクンと跳ねた。


(どうしよう。絶対、吉良くん酔ってる)

「ちょっ、と待って」

「待てないって言ったら?」

そう言うと彼が私をそっとソファーに押し倒した。
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