クズなキミからの不適切な溺愛
その瞬間、私を組み伏せていた吉良くんの身体がトンと私に預けられる。

「吉良、くん?」 

「ん……光莉……さ……」

見れば吉良くんは長いまつ毛を揺らしながら、規則正しい呼吸を繰り返している。
私はさっと捲り上がったルームウェアをなおした。


「……やっぱり酔ってたんじゃない」


彼は私がどこにもいけないほどにぎゅっと抱きしめたまま、無防備な寝顔をこちらにむけている。

(さっき……)

私は彼が発した言葉を思い出す。

「光莉さんって言おうとした、だけ? だよね……」


だって『ひーちゃん』と呼ぶのはあの時の男の子たった一人だから。


私は彼のジャケットを手繰り寄せると二人で半分こするように肩にかけた。

そしてリモコンで電気を消すと、彼の匂いに包まれて眠りについた。
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