クズなキミからの不適切な溺愛
私たちは防波堤に腰掛けると、すぐにサンドイッチにかぶりつく。

「ん、タマゴサンド美味しい」

「こっちのハムサンドも美味いですよ」

「海でサンドイッチにうちの『ティーワルツ』ストレートティーは最高だね」

「いま光莉さんがデザイン担当してるのも『ティーワルツ』ですしね」

吉良くんがカツサンドを頬張りながら切長の目を細める。

「海来たいって言ったの光莉さんらしいなって思ってました」

「バレてたんだ」

「いいじゃないですか、デート兼仕事」

その言葉に私は和馬との会話を思い出す。

和馬はプライベートで仕事の話をするとよく機嫌が悪くなったから。


「……仕事兼ねてデート場所決めたの怒らないの?」

「ん? なんで?」

「それはその、仕事とプライベートは別にして欲しいって思わないのかなって」

「失礼ですけど、それもバカ犬に言われました?」

吉良くんはサンドイッチを食べ終わると、ペットボトルの蓋を開ける。


「俺は仕事も恋も一生懸命な光莉さんがいい」

「……ありがとう」

和馬と別れてから、仕事も恋も両方なんて私には無理なんじゃないかとずっと思っていた。

私はそんなに器用な人間ではないし、どちらかといえば猪突猛進タイプだし、割と仕事人間だという自覚もある。

だから両方頑張ることは何も悪くない、むしろ肯定してくれる彼の言葉が嬉しかった。


──理由なんてない。恋は堕ちる

私がいま手がけている新商品の紅茶のキャッチコピーだ。
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